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「認知戦(にんちせん)」という言葉をご存じでしょうか?
これは、近年急速に注目を集めている新しいタイプの“戦争”です。
敵を武力で攻撃するのではなく、「情報」を使って相手国の考え方や判断を揺るがし、自国に都合のよい状況をつくり出そうというものです。
今回は、この「認知戦」について、実際に中国が行っている事例を交えながら解説します。
認知戦とは何か?
認知戦とは、人々の「考え方」「価値観」「意思決定」に影響を与えることを目的とした戦略行動です。
偽情報(フェイクニュース)や世論誘導、心理操作などを駆使して、相手国の国民や政府を混乱させ、自国に有利な環境をつくろうとする取り組みです。
近年では、従来の陸・海・空に加え、「宇宙」「サイバー」「電磁波」などが新たな戦場とされてきましたが、「認知」はそれらに次ぐ“第6の戦場”とも呼ばれています。
中国の「認知戦」戦略とは?
中国では早くからこの認知戦に着目し、戦略に取り入れています。
2003年に始まった「三戦」戦略
中国人民解放軍は2003年、以下の3つの情報戦を「三戦」として正式に導入しました:
世論戦:情報発信で国内外の世論を味方につける
心理戦:敵の士気や意思決定に揺さぶりをかける
法律戦:法的主張で相手国の行動を封じ込める
現在の「認知戦」は、この「世論戦」と「心理戦」を融合・発展させたものとされます。
3つの手法で相手の思考を操作
中国が実際に使っている認知戦の手法には以下の3つがあります:
認知抑制:相手に正しい情報を与えず、誤認させる
認知形成:偽情報や誘導的な報道を流し、都合のよい考え方を植え付ける
認知コントロール:相手の意思決定自体を操作する(=“洗脳”に近い)
人民解放軍の機関紙「解放軍報」では「将来の戦争は非軍事7割・軍事3割」とし、戦わずして勝つ戦略としてこの認知戦が強調されています。
実際に起きた“認知戦”の例
尖閣ビデオ問題(2010年)
海上保安庁が撮影した、中国漁船が日本の巡視船に体当たりする映像。
しかし当時の政府はこのビデオの公開を制限し、事実を国民に伝えることを怠りました。
これにより、中国の「日本が挑発した」という虚偽の主張に信ぴょう性が生まれ、国際世論が揺れ動きました。
沖縄の偽“独立投票”報道(2012年)
中国メディア「環球網」が、「沖縄で75%の住民が独立を望んだ」という虚偽の報道を行いました。
実際にはそんな住民投票は存在せず、完全な捏造(でっちあげ)でした。
こうした報道が世界に広まると、「沖縄は中国に帰属すべき」というナラティブ(相手に都合のよい世界観を植え付けるための情報戦略)が醸成されかねません。
航空自衛隊への偽情報(2016年)
中国国防省が「日本のF15戦闘機が中国機にフレアを発射した」と非難する写真を発表しましたが、その写真は事件当日に飛行していなかった機体のもの。
完全に事実と異なる情報を使った“攻撃”でした。
認知戦の本当の恐ろしさ
認知戦が恐ろしいのは、見えないところで心を侵されることです。
ある日突然、ニュースやSNS、テレビ番組を通して
「日本が悪いんじゃない?」
「争うより譲った方がいいよね」
と思う人が増えてしまったら——それは認知戦に負けつつあるサインかもしれません。
日本はどう対応すべきか?
防衛省の情報本部は、認知戦に対抗する専門部署として活動を始めていますが、それだけでは十分ではありません。
偽情報にすばやく反応し、真実を明らかにする「情報の透明性」と、「国民の情報リテラシー(見抜く力)」がますます重要になります。
尖閣諸島など日本の主権が問われる局面では、「意思と能力」をはっきりと示し、事実に基づいた発信を政府・メディア・国民が一体となって行う必要があります。
まとめ:情報が武器になる時代へ
認知戦とは、「戦わずして相手をコントロールする」ことを狙った新しい戦い方です。
中国をはじめロシアなどもこの手法を積極的に使っており、私たちの身近な場所にまでその影響は及んでいます。
だからこそ、国民一人ひとりが「何を信じるか」「どんな情報に影響されているか」に敏感でなければなりません。
日本の未来を守るためにも、「認知戦」という現代の戦い方を知り、正しく向き合うことが必要です。
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