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【5721】エス・サイエンス急騰からの急落劇──「青汁王子ショック」の本質とは?

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2025年の仮想通貨バブル再燃の影響を受け、低位株の中には投機的な資金が一気に流れ込み、驚異的な値動きを見せた銘柄がいくつか登場しました。その代表格のひとつが、東証スタンダードに上場するエス・サイエンス(5721)です。

 

老舗の金属製品メーカーながら、近年は不動産やDX支援、そして暗号資産投資という新分野に進出。特に、2025年3月に仮想通貨事業への参入を発表して以降、同社の株価は一時20円台から120円台、さらに6月には200円台へと、爆発的な上昇を遂げました。

 

ところが、その期待を大きく裏切る出来事が7月初旬に起こります。SNSでのある一言が引き金となり、株価は連日ストップ安となったのです。

話題の中心にいたのは「青汁王子」

エス・サイエンスがここまで注目された最大の理由。それは実業家・三崎優太氏(通称:青汁王子)が同社の暗号資産事業の「クリプトアセット事業開発担当室長」に就任したことでした。

 

SNSでの発信力が強く、過去にはD2Cブランドの立ち上げでも成功を収めた三崎氏。その影響力を期待し、エス・サイエンスは彼を広告塔的な存在として迎えたわけです。

 

加えて、2025年3月末時点で三崎氏が同社の第2位株主(4.59%保有)であることが発覚すると、株式市場では「これは来るぞ」と一気に買いが加速。文字通り、青汁王子が火をつけた形でした。

「株、全部売ったよ」──暴落を招いたたった一言

2025年7月1日。事件はX(旧Twitter)で起こります。

あるユーザーから「エス・サイエンスどうですか?」というリプライに対し、三崎氏はなんとこう返信しました。

 

「そもそも株全部売ったよ、まったくもってない。大株主だったのは3月時点での話です」

 

これに市場は大混乱。前日まで310円を付けていた株価は、翌日にはストップ安の235円へ。さらにその翌日もストップ安をつけ、わずか2日で155円まで暴落しました。

 

例えば、200円時点で1万株(200万円相当)を保有していた場合、この2日間で45万円以上が吹き飛んだことになります。

株主が怒るのは「売ったこと」を公言したこと

三崎氏は株を売却したこと自体は、法令に違反していなければとやかく言うべきではないでしょう。

 

しかし、問題はその後の発言にあります。自らが室長として顔を出している企業について、「株は全部売った」「今は持ってない」と公言してしまったのです。

 

会社側はすぐに声明を出し、「特別な事情や未公表の重要事実に基づくものではない」と釈明。さらに「今後も三崎氏は室長として職務を続ける」としていますが、もはや市場の信頼は地に落ちた感が否めません。

 

株価がストップ高を連発していた時には「夢がある」とされていたこの銘柄ですが、裏切られたと感じた投資家は少なくなかったはずです。

「青汁が関わる株」は買うべきなのか?

エス・サイエンスの一連の騒動を見て、こう思いました。

 

青汁王子が関わる企業は、値動きは派手でも、投資先としては極めてリスクが高い。

 

これは感情論ではありません。信頼性や継続性が非常に不透明だからです。

 

たしかに一時的には急騰することがあるでしょう。けれど、その上昇はファンダメンタルズではなく「話題性」に依存しています。そして、話題性とは常に移ろいやすいものです。

まとめ:この急騰・急落劇から得られる教訓

今回のエス・サイエンス騒動から私たちが学ぶべき教訓は、以下の3点に集約されるでしょう。

 

SNSの影響力を甘く見るな
 たった一言で数百億円の時価総額が動く時代です。
・投資対象の本質を見極めよ
 暗号資産ブーム、インフルエンサー、大株主…すべて「材料」ではあるが、「企業価値」そのものではありません。
ポジショントークに踊らされない
 発信者が株を売っているかどうかを、私たちは常に疑ってかかるべきです。

 

エス・サイエンスの今後の展開は不透明ですが、一つだけ言えることがあります。

 

株式投資とは、信頼と継続性の上に成り立つものである。

 

短期で儲かるかもしれない、でもその裏にあるリスクにも目を向けないと、また同じ過ちを繰り返すことになります。

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